「楽しい地層図鑑」小白井亮一文・写真

公開日: 更新日:

 日本列島は数億年にわたるダイナミックな変動の結果、現在のように形づくられた。その変動が今なお続き、地質学的にも注目すべき日本列島の自然や国土は、地層や化石を知る上で、すばらしい素材を提供してくれるという。

 そんな列島各地の地層や化石の写真を紹介しながら、その基礎知識や魅力について解説してくれる図鑑。

 地層は、ふつうは地下にあるが、実は身近な場所でも見ることができる。海岸沿いや川沿い、そして道路沿いなどのガケだ。ガケの上にも地面が広がっており、視点を変えればガケは「地面の下、つまり地下に広がる地層の世界」を見せてくれているともいえるのだ。

 ガケに加え、河床や切り通しなど地下世界が垣間見える場所を地質学では「露頭」と呼ぶ。しかし、一見しただけでは、あの地層のシマシマが見当たらない露頭も多い。中には岩石の割れ目にしか見えないようなものや垂直なものなどもあり、さまざまな例を取り上げ、その見分け方のコツを解説する。

 平行なシマシマを思い浮かべがちな地層だが実際には、複雑な様相を呈している。

 地層の状況=「地層の姿勢」は、面として広がる方向を表す「走向」と、地層の面と水平面との角度で表す傾き具合「傾斜」で決まる。

 また、露頭でシマシマに見える典型的な地層は、砂や泥などの堆積物の層が交互に積み重なったもので、このような構造を「層理」、一枚一枚の層を「単層」と呼ぶ。

 こうした基礎知識を丁寧に解説した上で、地層を学ぶ上で欠かせない岩石について、さらに地層の同定に深く関わる化石との関係などを詳述。

 地球誕生以来、営々と続く大地の活動や、太古の生物の営みまで垣間見ることができる奥深い世界への案内状だ。

(草思社 4180円)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  2. 2

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 3

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  4. 4

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  1. 6

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑でCM動画削除が加速…聞こえてきたスポンサー関係者の冷静すぎる「本音」

  3. 8

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  4. 9

    綾瀬はるかは棚ぼた? 永野芽郁“失脚”でCM美女たちのポスト女王争奪戦が勃発

  5. 10

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり