「仮面をとった浦島太郎」髙橋大輔著
昔話の浦島太郎のモデルとなった実在の人物を探すルポルタージュ。
昔話の基になった最古の浦島伝説は、8世紀にまとめられた地誌「日本書紀」「丹後国風土記」「万葉集」に収められている。日本書紀によると、昔話で語られる「昔々、あるところに」は、雄略天皇の治世22(478)年、丹波国(後の丹後国)の余社郡(現在の京都府与謝郡伊根町付近)のことで、そこに暮らす「浦嶋子」に起きた出来事だと記されている。また、日本書紀や風土記では、浦嶋子は「玉匣(たまくしげ=玉手箱)」を開けても老人にならないという。
カメが登場する意味や、訪れた楽園とはどこか、玉手箱を開けて老人になる理由など、昔話と伝説の違いや疑問を解き明かしながら、浦嶋子の正体に迫る。
(朝日新聞出版 847円)