「超訳 猫が教えてくれた明日を生きる 勇気の言葉」白取春彦編訳
「超訳 猫が教えてくれた明日を生きる 勇気の言葉」白取春彦編訳
新入生や新社会人でなくとも、そろそろ「五月病」の症状が出始めている人も多いのでは。
おまけに戦争や物価高、気候危機など、時代の先行きには暗雲が漂い、正解が見えない問題ばかりが山積みになっている。
そんな不安を抱え、立ちすくむ人たちにおすすめなのが本書だ。世紀を超えて読み継がれてきた賢人たちの言葉をやさしくかみ砕き、猫写真を添えて紹介する人生応援ブック。
例えば、哲学者マルセルの「不安があったって、それはふつうのこと。ちっとも不幸なんかじゃない。その不安が刺戟(しげき)になって、ぼくらは活動できるのだから」という至言。
背景には、朝日があたってぽかぽかのベッドの上で伸びをしながら大あくびをするキジ猫の写真。「不安がないのは猫くらいかもね」と猫の本音も添えられている。
「物についても、人についても、ランクづけするのはくだらないことさ。だって、ランキングの根拠は、自分の好みとくだらない自尊感情なんだから」との社会学者ブルデューの言葉には、「血統書なんてないよ!」と胸を張る雑種の猫の写真。
ほかにも「自分に合った職業を選ぼうとしているみたいだね。でもさ、本当はどの職業でもいいんだよ。きみがどう働くか、それだけが問題だし、その働き方が意味と満足を生むのだから」(フランクル)にはリモートワーク中のご主人の腕の中に納まり邪魔する茶虎猫が「例えば猫といっしょに働くとかね?」、「愛されたい? 簡単だよ! 自分から愛情を与えればOKさ」(ラッセル)には、飼い主になでられる猫が「猫は愛されることで、愛を与えているんだよ」と語るなど、テーマごとに60の至言を紹介。
あのふわふわのクリームパンのような前足で猫がそっと背中を押してくれるプレゼントに最適本。
(山と溪谷社 1650円)