「きみと暮らせば」八木沢里志著
「きみと暮らせば」八木沢里志著
春の日曜日、ユカリが洗濯物を取り込みに庭を出ると、ハチワレ柄の猫が庭木の下で香箱を組んでいた。居間でテレビを見ていた陽一に声をかけるが、興味を示さない。
中学3年のユカリと11歳年の離れた陽一は血がつながっていないきょうだいだ。10年前に親の再婚できょうだいになったが、両親は5年前に事故で他界。それを機に、都内で1人暮らしをしていた陽一は、大学をやめ地元で就職し、ユカリと暮らし始めたのだ。
ユカリは今でも、反対する親戚の前で「ユカリの面倒はオレが見る」と言い切った兄の姿を覚えている。ユカリは、庭に出入りするようになった猫を家で飼いたいと陽一に持ちかけるが……。
しっかり者の妹とのんびり屋の兄、2人の日常を描くハートウオーミングストーリー。
(徳間書店 935円)