「マネーモンスター」黒木亮著

公開日: 更新日:

「マネーモンスター」黒木亮著

「パンゲア&カンパニー」は、ウォール街にあるカラ売り専業ファンド。東京事務所の北川靖は、創業パートナーと共に日夜ターゲットを探している。

 そんな彼らの目にとまったのは、「城西ホールディングス」。操作盤スイッチを作る町工場から、ノートパソコンの液晶バックライトで大化けして次々とメーカーを買収。東証2部に上場して中国に大規模工場を建設と飛ぶ鳥を落とす勢いだったのだが、有機ELの登場で風向きが変わった。

 一方、液晶開発でフォードやアップルにも頼りにされた技術者・畑中良嗣は、中途入社した城西ホールディングスでその内情を知り、青ざめていた。かつての栄光頼みのワンマン社長が会社の財務資料を見せてくれず、有機ELに対抗する新技術が開発される様子もないからだ。焦りを感じ始めたさなか、会社がカラ売り屋のターゲットになったことを告げる一報が入ってくる。(「ミスター液晶」)

 巧妙な手口で経営実態を隠す企業と、緻密な財務分析を武器に仕掛けるカラ売りファンドの攻防を描く経済エンターテインメント。上記を含め手に汗握るマネーの戦いを計3話収録。

(幻冬舎 2090円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動