「マネーモンスター」黒木亮著

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「マネーモンスター」黒木亮著

「パンゲア&カンパニー」は、ウォール街にあるカラ売り専業ファンド。東京事務所の北川靖は、創業パートナーと共に日夜ターゲットを探している。

 そんな彼らの目にとまったのは、「城西ホールディングス」。操作盤スイッチを作る町工場から、ノートパソコンの液晶バックライトで大化けして次々とメーカーを買収。東証2部に上場して中国に大規模工場を建設と飛ぶ鳥を落とす勢いだったのだが、有機ELの登場で風向きが変わった。

 一方、液晶開発でフォードやアップルにも頼りにされた技術者・畑中良嗣は、中途入社した城西ホールディングスでその内情を知り、青ざめていた。かつての栄光頼みのワンマン社長が会社の財務資料を見せてくれず、有機ELに対抗する新技術が開発される様子もないからだ。焦りを感じ始めたさなか、会社がカラ売り屋のターゲットになったことを告げる一報が入ってくる。(「ミスター液晶」)

 巧妙な手口で経営実態を隠す企業と、緻密な財務分析を武器に仕掛けるカラ売りファンドの攻防を描く経済エンターテインメント。上記を含め手に汗握るマネーの戦いを計3話収録。

(幻冬舎 2090円)

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