「紺碧の海」梶よう子著
「紺碧の海」梶よう子著
太平洋に浮かぶ無人島、鳥島で、男たちがアホウドリを捕獲していた。その羽根をむしるためだ。
八丈島で生まれた留吉は、同郷の玉置半右衛門に誘われて横浜で奉公をしていた。商いを覚え、異国語も使えるようになり、ウィリアム商館で番頭を務めていたが、ある日、中浜万次郎という男と知り合う。万次郎はかつて漂流したことがあり、鳥島に漂着して生きのびた。鳥島のアホウドリは純白で美しかったと話す。半右衛門は以前、異人が持っていた羽根布団に鳥の羽根が詰められていたことを思い出し、「鳥島へ行かないか?」と留吉を誘った。
明治時代、誰も見向きもしなかったアホウドリに目をつけ、商人として成功した男の人生を描く痛快小説。
(徳間書店 2090円)