「大人のゆる友活」潮凪洋介氏

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「大人のゆる友活」潮凪洋介著

 ひとりカラオケ、ひとり焼き肉など、おひとりさま活動が定着しつつある昨今、実際、ひとりを志向する人が30年前に比べ大幅に増えたという調査結果がある。そんな時代に、あえて「ゆるくつながる友達を持とう(ゆる友活)」と呼びかけるのが本書だ。著者は、新社会人になったとき人間関係がうまくいかず苦しんだことから、サードプレイス(家でも会社でもない第3の居場所)を提供する会を立ち上げ、400回以上ものイベントを主催してきた。

「人付き合いを面倒と感じる人もいますが、孤独は簡単に人の心も体も壊します。孤独になると被害妄想が強くなり、許容性がなくなります。そして自分や外に対してのイライラで、最悪自殺に至ることもありうるのです。ソロ活が楽しいのは普段から友達とのつながりがあってこそ。だから1人の時間が楽しめるんです」

 本書では、自身の体験も紹介しながら、新旧の友人とほどよい距離感で楽しく付き合う“大人ならでは”のヒントをあげていく。

 大人になると仕事上の付き合いより、友達付き合いの方が難しいと感じることもある。たとえば学生時代からの友人の場合。

「若い頃の友達は、多少失礼なことを言っても許される関係だったかもしれません。でも、大人になるにつれ、職位や収入、環境が変わってきたら、相手の気持ちを考えないと関係が壊れることがあります」

 実は著者も十数年ぶりに大学時代の友人らと飲んだとき、あるひとりに昔のいじりを思い出しネタにしたら、その後音信不通になってしまい後悔したという。相手の言動によって不快にさせられたりすると、そういう人とは一緒にいたくないものだ。逆もしかり。そこで人に嫌われないようにする対策として絶対にやらないことを普段から決めてリスト化するといいと提案している。

「悪のりやいじりをしない、人にあだ名をつけないで名字で呼ぶ、自分の話ばかりしないで相手の話を聞くなどです。リスト化するには人を不快にさせたと思われる自分の言動を振り返る必要がありますね」

 ゆる友に出会うには、いろいろなコミュニティーに出かけることが重要だが、現代ではSNSの活用も必須である。

「たとえば40代以上であったらFacebookで、興味のあるサークルとかを検索して、新人でも入りやすそうなサークルにいくつか同時に入って試してみるといいでしょう」

 ゆる友活は自分の中で、どこまで付き合うか基準を決め、短時間と割り切ると楽に動けるという。ところで、友達が同性とは限らない。異性だったらどうしたら誤解されずに付き合えるか、なかなか悩ましい。

「ただの友達として線引きをして、複数のコミュニティーの人と付き合うのがいいと思います。自分の配偶者や恋人に紹介しておくのもいいですね。あくまで友達なので、交際したいなんて一切言ってはいけません!」

 ゆる友活で一番重要なことは「『ま、いっか』で許してあげられる相手だということ」と著者。

「人はひとりでも笑うことはできますが、笑い合うことはできません。一緒に、うれしいね、楽しいね、感動したと共感できる存在が必要なんです」

 お互いに心地いい関係を築くために、「自分の無意識の癖を甘く見ない」「誘いをうまく断る方法」など41のアドバイスを参考に「ゆる友活」を始めてみたい。 (集英社 1760円)

▽潮凪洋介(しおなぎ・ようすけ) 1970年生まれ。サードプレイス啓蒙家。株式会社ハートランド代表取締役。「もう『いい人』になるのはやめなさい!」「遊び+ビジネスで人生が変わる アソビジネス大全」など著書多数。

【連載】著者インタビュー

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