「箱庭クロニクル」坂崎かおる著

公開日: 更新日:

「箱庭クロニクル」坂崎かおる著

 シュウコは何に対しても全力を傾ける性格だ。高等女学校を卒業して京橋にある邦文タイピストの学校に通っていたが、先生は林建忠という中国人で、完璧な日本語を話した。

 ある日、先生とタイプ打ちの競争をすることになったシュウコは、「勅令」の「勅」を探したが見つからない。先生は法律関係の文章なので「勅」を使う可能性があると考え、予備文字からその活字を用意しておいたため、シュウコより早く原稿を打ち終えた。

 その後、上海で騒動があったとき、憲兵が来て先生を連行していった。やがてシュウコは結婚し、ドイツに旅行し、骨董品店で中国語のタイプライターを見つけた。文字盤に新しい活字が3つあった。忘了我(私を忘れて)。(「ベルを鳴らして」)

 心に残る6編の短編小説。

(講談社 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広「申し訳ございません」ついに謝罪もSMAP再結成は雲散霧消…元リーダーが“終止符”を打つ皮肉

  2. 2

    中居正広“9000万円トラブル”で番組窮地…「今でも許せない」告発女性が反撃の狼煙

  3. 3

    中居正広“9000万円女性トラブル”報道で再注目 女子アナや芸人が暴露…テレビ局の“悪しき風習”

  4. 4

    中居正広「女性トラブル報道」に「沈黙」を続けるTVメディア…旧ジャニーズ事務所の性加害問題とソックリ

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    中居正広「テレビから消える日」いよいよ現実味…女性トラブル示談金9000万円報道いまだ波紋

  2. 7

    《親会社変わってくれ》楽天OBが実名で痛烈批判! 創設20年で監督6人が1年でクビの「負の連鎖」

  3. 8

    中居正広“9000万円トラブル報道”でTOKIO再結成に高まる期待 SMAP完全消滅の反動で…

  4. 9

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  5. 10

    藤井風“エグい”と話題のNHK紅白「NY生中継」の驚きの金額 5分30秒の放送に受信料大盤振る舞い