「一○の国旗の下で」エドガルス・カッタイス著、黒沢歩訳
「一○の国旗の下で」エドガルス・カッタイス著、黒沢歩訳
著者は1923年に、祖国ラトビアから遠く離れた満州の小さな村で生まれた。日露戦争(1904年)のとき、機関車技師の訓練を受けていた父カーリスは、激戦地に派遣されずに前線に物資を送る任務に就いていた。
ロシア軍には満州の詳細な地図がなかったため、日本に敗北。終戦後、カーリスは満州の鉄道に残り、1926年ごろ、ハルビンに転勤となる。ハルビンにはロシアからの移住者の寄付で造られた教会やモスク、シナゴーグなどがあった。3年後、政変が起き、中華民国の五色旗は青空に白い太陽の国民党旗に替わる。
ロシア人、ユダヤ人、タタール人ら、さまざまな民族が出入りした満州での日々の記録。 (作品社 3190円)