「11ミリのふたつ星」砥上裕將著
「11ミリのふたつ星」砥上裕將著
視能訓練士の野宮恭一は、ある日、喫茶店で開かれるイベントで、視野欠損のある人を医療技術者としてサポートする仕事のピンチヒッターを頼まれた。
当日、小さな子どもと細身の女性の2人連れの客が来たが、子どもの灯(あかり)ちゃんが落ち着きなく動き回る。ピアノで「きらきら星」の演奏が始まると、体をリズミカルに揺らし始める。母親がステージから下ろそうとすると、灯ちゃんは白目をむいていた。友人に頼まれた野宮が検査して異常を感じ、医師に見せると交代性の斜視であることが確認された。
世界を立体で見ることができない少女など、さまざまな患者と向き合う医療従事者を描いた小説。 (講談社 1925円)