「江戸の性愛業」永井義男著
「江戸の性愛業」永井義男著
「夜鷹」は夜道に立って男に声をかける街娼で、屋内ではなく、物陰の地面に敷いた茣蓙(ござ)の上で性行為をした。料金は安く、蕎麦1杯の値段とも、24文ともいわれる。
夜鷹は若い女はめったにおらず、たいてい40、50歳で、「人生五十年」といわれた時代には老婆であった。そんな夜鷹を買うのは、武家屋敷に仕える中間や、商家の下男などの奉公人、日雇い人足だった。タチの悪い客が金を払わずに逃げることも少なくないため、妓夫(ぎゅう)と呼ばれる用心棒が物陰から見守っていたが、妓夫は夜鷹の亭主であることが多かった。(「夜鷹」)
ほかに湯女や比丘尼など、さまざまな名称や形態で働くセックスワーカーを江戸文化評論家が紹介する。 (作品社 2640円)