「風俗嬢の事情」小野一光著
「風俗嬢の事情」小野一光著
彼女たちは、どのような道をたどって風俗嬢として働くことを選んだのか。それぞれの事情に耳を傾けるルポルタージュ。
SMクラブで働き始めて3カ月というアヤメは、誰もが知る有名大学に通う大学3年生。風俗で働くこと自体が初めてだという彼女に、SMクラブを選んだ理由を尋ねると、大学でシェークスピア史を学ぶ中でSMがイギリス発祥だと知り、実際に体験したら分かるかなと思ったからだという。その答えに違和感を抱いた著者が、後日、改めて取材を申し込み、話を聞くと、キャリア官僚を父に持つ過去の壮絶な体験が明かされる。
ほかにも、IT企業を立ち上げる傍らキャバクラで働く理系女子大生リカや人妻のハルカなど、風俗嬢たちの生きざまから、社会のリアルな現実が浮き彫りになる。 (集英社 792円)