著者のコラム一覧
吉川圭三映像プロデューサー

1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサー、早稲田大学表現工学科講師を務める。著書に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)、「全力でアナウンサーしています。」(文藝春秋)がある。

大島渚編<前編>トカゲにぶち切れ「お前、どこの事務所だ」

公開日: 更新日:

 大島監督とは、私が大学生の時からの縁だ。うちの父はニューオータニのパーティーで大島渚監督を見つけ、初対面ながらアメリカで映画の仕事に就きたいという息子(私のこと)について相談したのだ。

「アメリカ留学もいいけど、これから日本のテレビはもっともっと面白くなる。私はテレビを勧めますね」

 と、とうとうと語ったという。「大島さんが言っていたが、テレビもいいらしいぞ」と父が言うので、この勧めに従い、どうにか日本テレビに入社したのだった。

 そして入社3年目に「日本映画80年スペシャル」という番組のスタッフとして大島監督の現場に入ることができた。冒頭、大島渚監督をお呼びし、疑似で映画撮影ロケ現場をつくり「よーい。スタート!」と言ってもらうことにした。新宿の高層ビルの間の広場でディレクターズチェアに座った大島渚監督が、大きなメガホンを取り上げ、やる気満々だ。

「よーい。スタート!」

 半径100メートルのOLやビジネスマンが足を止めるほど凄まじい咆哮だった。だが、この“大島砲”の勢いと反作用はトンデモなく、大島さん自身の座っている椅子が後ろに傾き倒れそうになった。それでも大島さんは「うーん。久しぶりに気持ちがいいね~」と上機嫌。そして私が入社した経緯などを話すと「ああ、そんな相談があった気がするね~。君だったか。テレビも映画も映像と音声。これからのテレビをもっと良くするために頑張ってほしい。今日は君に会えてうれしかった」と、固く両手で握手してくれた。大島渚監督はかくも熱くいつも真剣に生きている人だった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動