全く境遇の違うビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズ<前編>
ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズ。この2人の“巨人”と直接仕事をしたことがある元マイクロソフト本社副社長の古川享氏(現在・慶応義塾大学KMD教授)と元アップル本社副社長の前刀禎明氏に話を聞いたことがある。
ジョブズを描いたダニー・ボイル監督の「スティーブ・ジョブズ」では終始ハイテンションでしゃべりまくる姿が印象的だった。一方のビル・ゲイツはシアトルの裕福な家に生まれ、ハーバード大学在学中にマイクロソフト社を設立。BASICやMS―DOSやWindowsシリーズを開発。世界のコンピューターシステムを制覇して2017年も世界一の大富豪で、現在は経営の第一線を退き、主に慈善活動に力を注いでいる。しかし、その私生活は余り明らかになっていない。
策士でテンションの高いジョブズと、プログラマーで戦略家かつ倹約家のゲイツは時に友好関係を結び、時に敵対関係となる好敵手。しかし、セレブとマイノリティーという全く境遇の違う2人だった。
ジョブズはスピリチュアルな世界にのめり込み、学生時代にインド等を旅した経験が彼の“直観で動く仕事術”になっていったといわれるが、古川氏は言下に否定する。「結局(インドに)行ってみたけど、何も見つからなかった」ともジョブズは表現していたという。やがて、ジョブズは1977年にアップルⅡで大成功。当時、マイクロソフトはまだ「蟻」のような存在、アップルは「巨人」になりつつあった。