NHK終戦ドラマ「アナウンサーたちの戦争」は自社の“黒歴史”をどこまで描くのか?
■森田剛が国民を戦争に駆り立てた名物アナ役に
ドラマ編にも注目したい。森田剛と高良健吾の「アナウンサーたちの戦争」(14日放送)だ。
戦時中、NHKには2人の名物アナがいた。和田信賢と館野守男。2人はくしくも開戦と終戦の両方の放送に関わった。館野は真珠湾攻撃の「臨時ニュースを申し上げます。帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」というあの速報を読み、その原稿を書いたのが当直アナの和田だった。また終戦時は、無条件降伏を告げる昭和天皇の玉音放送を阻止しようとする反乱将校たちに館野が立ち向かい、和田は放送の進行役として「ただいまより重大なる放送があります。全国の聴取者の皆さま、ご起立願います」とアナウンスした。
「森田剛が和田アナ、高良健吾が館野アナを演じます。2人は戦争が始まると、大本営発表の嘘八百の戦果をラジオで伝え続け、時に戦意高揚のアジテーションまでして、『電波戦士』を自負していました。国民もその勇ましい放送に熱狂し、鬼畜米英に勝つと信じて破滅へと突き進んでいった。ラジオ放送は戦争に若者を駆り立てる役目も担ったわけで、伝説のアナウンサーはNHKの黒歴史でもあります。戦争を煽った自らの責任をNHKがどこまで描くか、そこも見どころのひとつです」(メディアアナリスト)