23歳で“寿引退”したジャンボ堀さんは今「また女子プロに関われて幸せ」
ジャンボ堀さん(元女子プロレスラー/60歳)
175センチの長身で、えくぼがチャームポイント。映画出演にヌード写真集の出版など、グラビアレスラーの先駆けで、後輩のクラッシュ・ギャルズ(ライオネス飛鳥&長与千種)らと第2次女子プロレスブームを牽引。女子プロレス界初の寿引退でリングを去って38年。還暦を過ぎたジャンボ堀さんは、放送作家の鈴木おさむ氏の経営する飲食店に勤務していた。
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全日本女子プロレス興業(全女)のオーディションがフジテレビで開催されると聞き、「アイドルに会える!」と安易な気持ちで受験し、一発合格。15歳で172センチ。中学生時代はバレーボールに打ち込み、テレビをほとんど見ておらず、プロレスに無知。ビューティ・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)を歌手だと思うほどだった。
「審査員のジャッキーさんがプロレスラーだと知らなくて、私の履歴書を見て『172もないでしょ』って言うんで、『すいませんけど、身長おいくつですか? 上げ底(の靴を)はいてるじゃないですか!』って言い返しちゃった(笑)。ヒールを脱いだジャッキーさんの横に並んだら、私のほうが高かった」
世界に通用する長身とルックスで、17歳の時に、「刑事コロンボ」で一世を風靡したピーター・フォーク(享年83)の主演映画「カリフォルニア・ドールズ」にミミ萩原と出演。21歳でヌード写真集を出版し、リング外でも活躍。
「事前に『ヌードはないよね?』と念を押したら、『あるわけねぇだろ!』と言われていたんです。ところが、撮影現場で“脱がないと終われない”状況に追い詰められて、仕方がないから脱いで……。ネガチェックでヌードは省いたのに、電車の中吊りに『ジャンボ堀、ヌード!』って出ていてビックリ! 会社に猛抗議したら、『袋とじになってるから大丈夫だよ』って、訳わかんない言い訳をされた(笑)」
デビュー5年後、後輩の大森ゆかり(61)とのダイナマイト・ギャルズでWWWA世界タッグ王座に君臨。女子プロレスラーといえば男、酒、たばこを禁じる「3禁」が有名だが、堀さんには20歳から彼がいた。
「5歳年上の高砂部屋の力士でした。誕生日のお祝いをしてもらうために六本木のお店へ行ったら、大森が場所を間違えて、その店にいたのが力士グループ。意気投合したのがきっかけです。『明日、東京で試合なんです』って伝えたら応援に来てくれて、交際が始まりました。けど、お互い遠征が多いので、ほとんど電話。両手いっぱいの10円玉に両替えして、公衆電話から部屋にかけたり。彼が負担してくれて、コレクトコールを頼んだり。デートらしいデートはしなかったかも」
実力・人気も申し分なく、交際は全女も黙認だった。
「大活躍した先輩が肩たたきで引退したのを見てきたので、私は『まだできるのに……』と思われる状態で辞めたかった。23歳で女子プロ界初の寿引退をしました」