元陸自1等陸佐に聞いた…アフガン映画「コヴェナント/約束の救出」のリアリティー
23日、全国で封切られた映画「コヴェナント/約束の救出」(ガイ・リッチー監督)が早くも話題だ。舞台は、9.11への報復の流れで米軍が駐留する2018年のアフガニスタン。タリバンの武器庫捜索部隊を率いる米軍曹長(ジェイク・ギレンホール)と、アフガン人通訳(ダール・サリム)をめぐる壮絶な救出劇を描いたヒューマンサスペンスだ。どれほど真に迫っているのか。陸上自衛隊を1等陸佐で定年退官後、日本政府によるアフガニスタン支援事業のセキュリティーを担った越智楢男氏に聞いた。
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──タリバンの襲撃で部隊はほぼ全滅。瀕死の曹長を手押し車などに乗せ、山岳地帯を100キロも移動した通訳の精神力にたまげました。
戦闘場面はまさにそのもので、非常にリアルでした。曹長を死に物狂いで助け出し、英雄視された通訳が米軍の保護下に入れず、家族で逃げ惑う展開には「ん?」となったのですが、タリバンが米軍の協力者を執拗に狙うのは現実です。見方を変えると、協力者はアフガン社会で大きな権力を握る存在だったからです。「ここにタリバンが潜んでいる」と米軍に情報をあげれば、襲撃作戦が実行される。高額報酬を含む好待遇などと引き換えに、家族ともども標的とされるリスクにさらされています。