台湾エンタメが強くなったワケ(2)“巻き込み上手”で作品のクオリティーが飛躍的にアップ
こうした勢いに乗り、飛躍的にクオリティーが上がったという台湾ドラマだが、その変化は「模仿犯」(全10話)を見れば分かる。それまでの台湾ドラマと違い、完成度の高いサスペンスに仕上がっているのだ。
原作は宮部みゆきのベストセラー「模倣犯」で、02年には東宝により映画化され、16年にはテレビ東京がドラマ化している。映画版は原作ファンに嫌われ、ネット上で「駄作」とまで言われたが、そもそも連続殺人事件を描いた小説。映像化が難しいと思われていた。
それから20年──、「模倣犯」は台湾ドラマ「模仿犯」として生まれ変わった。いざ配信がスタートすると、多くの視聴者をクギ付けにし、ついにはネットフリックスの非英語ドラマで世界第2位に入るという快挙を成し遂げたのだ。
この勢いはドラマだけにとどまらない。5月には藤井道人監督による日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」が、6月にはやはり台湾と日本の合作映画「オールド・フォックス 11歳の選択」が公開予定で、早くも関係者の間で話題になっている。木藤氏によれば、「台湾はいい意味で“巻き込み上手”。手を組んだ相手とより良い作品を生み出し、相乗効果も狙っています」という。
親日といわれる台湾はかねて日本と相思相愛の仲だ。両国の関係は「愛の不時着」以上のラブストーリーになるのではないか。 =つづく