エッセイスト・岸本葉子さん(54)虫垂がん

公開日: 更新日:

 病気で得たものは、老後を「恵み」と捉える視点ができたことですね。「老後があることは幸運だ」と思うようになりました。もうひとつ言えば、「多様性への気づき」です。あえて他人には何も言わないけれど、何か事情を抱えていてトップスピードを出せない人が、世の中にはたくさんいるんだということ。私も2年間、病名は隠しましたから、他人に言えない気持ちもすごく分かるんです。

 病気をしてから変わったことといえば、スケジューリングで予備日を設けるようになりました。それまでは詰め込めるだけ詰め込むタイプでしたから、大きな変化です。

 普段の生活で気をつけているのは食事です。漢方クリニックで教わっている「食養生」を実践しています。肉、卵は控え、魚と野菜中心にして、主食は胚芽米や発芽玄米。添加物の少ない食品を選ぶことも大事です。外食でもお店を選べば何とかなりますし、たくさん食べても太らないので、中高年にはお勧めですよ(笑い)。

▽きしもと・ようこ 1961年、神奈川県生まれ。東京大学を卒業して保険会社に勤務後、中国に留学。帰国後、本格的に執筆活動を始め、食、暮らし、旅を題材とする著書多数。がん関連の著書は「がんから始まる」「がんと心」など。執筆のほか、テレビ「NHK俳句」の司会、ラジオ出演、講演など多方面で活躍している。

【連載】独白 愉快な“病人”たち

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

  2. 2

    慶応幼稚舎の願書備考欄に「親族が出身者」と書くメリットは? 縁故入学が横行していた過去の例

  3. 3

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  4. 4

    赤西仁と田口淳之介が始動…解散した「KAT-TUN」元メンバーたちのその後

  5. 5

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  1. 6

    人間の脳内のマイクロプラスチック量は「使い捨てスプーン」サイズ…8年前より1.5倍に増えていた

  2. 7

    「ニュース7」畠山衣美アナに既婚者"略奪不倫"報道…NHKはなぜ不倫スキャンダルが多いのか

  3. 8

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  4. 9

    トランプ大統領が大慌て…米国債の「金利急上昇」は何が大問題だったのか?

  5. 10

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”