ついに厚労省も削減へ 「抗生物質」に潜む危険と勘違い
■必要な常在菌も殺してしまう
日本は、世界的にみると抗生物質の販売量は多くはないが、経口のセファロスポリン系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬の使用割合が極めて高い。いずれも幅広い細菌に有効な抗生物質だから、やはり、特定の細菌感染症に対してピンポイントで処方しているケースは多くなさそうだ。
「この3系統の抗生物質はさまざまな細菌に対して満遍なく効くため、細菌を根こそぎ殺してしまいます。人間の体には、腸内細菌などの常在菌がたくさん存在していて、病原菌の侵入を防いだり、免疫バランスを保つ働きをしています。抗生物質はそうした必要な細菌まで一網打尽にしてしまうため、下痢などの副作用を引き起こす危険性があります。また、吐き気、発疹などが表れるケースもあります」
日本では、軽い風邪でもクリニックで抗生物質を処方してもらいたがる患者が少なくない。抗生物質を処方しないと、不満を漏らす患者もいるという。ウイルス性の風邪には効果がないことを知らない人が多く、耐性菌や副作用の問題も広く知られていないのが現状なのだ。