“美人の湯”は本当に美人になれるのか
“美人の湯”と呼ばれる温泉には硫黄泉や硫酸塩泉、単純温泉などがありますが、ほとんどがアルカリ性です。グローバル温泉医学研究所所長・モンゴル国立医科大学教授の松田忠徳先生に聞きました。
「アルカリ性の温泉に含まれるナトリウムやカリウムは、皮脂と混ざるとせっけんと同じ成分になります。これが肌をしっとりとなめらかな感触にするのです」
アルカリ性の湯の中で肌をさすると、せっけん成分がヌルヌルしてなめらかに感じます。また、古い角質層が自然と剥がれるので、湯上がりの肌はツルツルになります。だからアルカリ性の温泉は「美人の湯」「美肌の湯」などと呼ばれることが多いというわけです。
「そういう温泉では、せっけんで体を洗う必要はありません。天然のせっけん成分があるのですから、頭も体も湯だけで、むしろ普段より軽く洗ってください」
美人の湯の中でも、単純温泉(温泉法に定められた18の成分が基準値以下の温泉)はpH8.5以上のアルカリ性が多いそう。人間の肌は、pH5前後の弱酸性。アルカリ性の湯で、肌荒れしないのでしょうか?
「アルカリ性のせっけんで洗ったとしても、肌は間もなく弱酸性に戻ります。その程度の刺激なら、新陳代謝が活発になるので、むしろ肌にはいいと言えます」
ただし、肌が弱い人や乾燥肌の人はあまり長湯をしないこと。湯上がりには保湿するといいでしょう。