腎臓は人体の要…熱中症による腎機能低下には要注意
■炎天下で活動する人は横紋筋融解症のリスクも
熱中症で腎臓の機能が急激に低下すれば、状況によっては緊急に透析療法を行わなければならないこともある。
炎天下で体を動かさなければならない人の腎臓はさらなる危険にさらされる。熱で筋肉の細胞が融解・壊死して筋肉の細胞内の物質(ミオグロビン)が血液に流れる横紋筋融解症になる恐れがあるからだ。
「ミオグロビンが大量に血液中に流れ出ると、尿から必要な成分を再吸収する尿細管を閉塞させて急性腎不全を起こすことがあります。呼吸筋が損傷して呼吸が困難になったり、血液循環量の減少によるショックが出たり、高カリウム血症による急な心肺停止などが起こる可能性もあります」
こうしたリスクは年齢とともに高まることを忘れてはいけない。
「腎臓は我慢強い臓器で機能が低下してもなかなか自覚症状は出てきません。健康な人の場合、腎機能は20~30歳ごろがピークで年齢とともに少しずつ低下していきます。自覚症状は正常時の30%以下しか働かない腎不全になるとだるさやむくみ、貧血といった不快症状が起きやすくなるものの、10~20%程度になっても症状を自覚しない人もいます」