いい靴とは履きにくくて重い靴 大事なのは楽に歩けるか
家に帰ったり、靴を脱がなければならない店に出入りするとき、さっと脱げて、さっと履ける。そんな靴をつい選んでしまいがちだが、田中氏によるとこれは間違い。靴ひもをしっかり結んで、脱ぎ履きに時間がかかる。歩いた時に足にとっていいのは、そういう靴のほうだという。
さらに言えば、靴底が薄くて軽い靴よりも、靴底が厚くて重い靴のほうが、歩いた時に足腰をしっかり守ってくれる。
「実は、履き心地を重視して靴を選んだ人のほうが、デザインを重視して靴を選んだ人よりも、足の痛みを抱えていることが多いのです。なぜこんなことになるのか。それは、自分の足にフィットしているか、ではなく、靴屋で試しに履いた時に、スッと楽に履ける、ということを靴選びの基準にしてしまっているせいではないかと。本当は、履きやすい靴とは、履いて歩いて楽な靴のことであり、それは基本的に、脱ぎ履きしにくい靴のことなのですが、そのことがなかなか理解されていないのですね」
また、デザイン重視の靴のほうが足を痛める人が少なかった理由としては、そのような靴は価格を高めに設定できるため、製造工程や部品に予算を投入できることが、意外にも「足にいい靴」の条件を満たしているのではないか、と田中氏は言う。