著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

年間1万円強の負担で全国どこでも質の高い医師にかかれるようになる

公開日: 更新日:

■医師育成の費用は年間1兆円

 一般的に医師を育てるための6年間の医学教育費は学生1人当たり約1億1000万円かかっています。いまは年間約9000人が医師になっていますから国が毎年約1兆円の予算を組めばすべての医師を公費で育成できる計算になります。いまの日本の医療費は年間43兆円かかっています。「そのうちの1兆円を医師育成のために出しましょう」と厚労省が予算を組めば実現可能なのです。

 医療費は現時点でもパンク寸前と危惧されている状況ですから、そこから1兆円を賄うのは難しいかもしれません。その場合、たとえば医療機関で処方されている薬をすべてジェネリックに変更したり、スイッチOTC薬にシフトすると年間で約5000億円の薬価が削減できると推計されているので、あと5000億円を調達すれば済みます。同時に医師の仕事を看護師などの医療従事者に振り分けるタスクシフトを進めていけば、本当に必要な医師の人数が減っていくので、予算はもっと圧縮されていくでしょう。

 それでも、やはり医療費をやりくりするだけでは医師育成の予算は捻出できないとなった場合は、国民に負担してもらうことがどうしても必要です。近年の日本では、社会保障費を主に負担している15歳以上65歳未満の生産年齢人口は約7500万人ですから、1人当たり年間1万5000円弱を負担すれば、医師育成費の1兆円を捻出できます。年間の薬価を5000億円節約できれば、1人当たり年間6000円強の負担で済みます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ