セアカゴケグモ 原産地の豪州でも1950年代以降死者はゼロ
■心筋梗塞と間違えられるほどの激痛
死ぬ心配はなさそうですが、死ぬほど痛い目に合う危険があります。セアカゴケグモ咬傷の主症状は、耐えがたいほどの激痛です。咬まれた直後はほとんど痛みはありません。10分~1時間ほど後から痛み始め、時間とともに増していきます。それに伴って咬まれた周辺が赤く腫れ、さらにリンパ節まで痛み始めます。重症例では、別の場所も痛むことがあります。手指を咬まれると胸に激痛が生じたり(急性心筋梗塞と間違えられることがある)、足が咬まれると腹痛や背中の痛み(内臓系の病気が疑われることがある)に襲われるのです。
さらに咬まれた場所の周辺で異常な発汗があったり、頭痛、倦怠感、吐気などの全身症状が出ることもあります。オーストラリアの文献には「持続勃起症が起こることがある」とも書かれています。勃起が数時間も続くと、ペニスが壊死してしまいます。怖いですね。
とはいえ咬まれても、必ず症状が出るとは限りません。クモは相手に注入する毒液の量を調節することができます。クモにとって、人を咬んだところで腹の足しにもならないので、毒を使わないことが多いのです。オーストラリアの文献によれば、有毒咬傷は全体の1~2割しかないようですし、毒量が少ない場合も多く、大抵は1~2日で症状が緩和していきます。