著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

セアカゴケグモ 原産地の豪州でも1950年代以降死者はゼロ

公開日: 更新日:

心筋梗塞と間違えられるほどの激痛

 死ぬ心配はなさそうですが、死ぬほど痛い目に合う危険があります。セアカゴケグモ咬傷の主症状は、耐えがたいほどの激痛です。咬まれた直後はほとんど痛みはありません。10分~1時間ほど後から痛み始め、時間とともに増していきます。それに伴って咬まれた周辺が赤く腫れ、さらにリンパ節まで痛み始めます。重症例では、別の場所も痛むことがあります。手指を咬まれると胸に激痛が生じたり(急性心筋梗塞と間違えられることがある)、足が咬まれると腹痛や背中の痛み(内臓系の病気が疑われることがある)に襲われるのです。

 さらに咬まれた場所の周辺で異常な発汗があったり、頭痛、倦怠感、吐気などの全身症状が出ることもあります。オーストラリアの文献には「持続勃起症が起こることがある」とも書かれています。勃起が数時間も続くと、ペニスが壊死してしまいます。怖いですね。

 とはいえ咬まれても、必ず症状が出るとは限りません。クモは相手に注入する毒液の量を調節することができます。クモにとって、人を咬んだところで腹の足しにもならないので、毒を使わないことが多いのです。オーストラリアの文献によれば、有毒咬傷は全体の1~2割しかないようですし、毒量が少ない場合も多く、大抵は1~2日で症状が緩和していきます。

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