著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

セアカゴケグモ 原産地の豪州でも1950年代以降死者はゼロ

公開日: 更新日:

 オーストラリア原産のセアカゴケグモが国内で初めて見つかったのは1995年、場所は大阪府高石市の工場敷地内でした。物流に乗って海を渡ってきたと考えられます。当初は「日本の冬を越せない」と言われていましたが、今では生息域を全国に拡げています。2020年時点で、まだ発見の報告がないのは秋田県と青森県だけですから、完全に日本の風土に馴染んで定着したと考えていいでしょう。

 真黒なボディに、背中に砂時計型(個体によっては1本の縦縞)の真紅の模様が入っています。これは雌の配色です。雌は体長1センチ、脚も含めれば3センチほどですが、雄はその半分もありません。しかも目立たない薄茶色をしています。

「刺されると死ぬ」と報道されたため、一時は大騒ぎになりました。ただしクモには毒針がないので「刺される」ことはありません。顎の下の毒牙で「咬む」のです。セアカゴケグモの雌は、長さ1ミリほどの毒牙を持っています。しかし雄の牙は小さすぎて、人の皮膚を貫けません。人に健康被害をもたらすのは、もっぱら雌に限られます。

「死ぬ」というのも大袈裟すぎます。発見から四半世紀以上が経過し、その間に数十人が咬まれて治療を受けましたが、死者はいまだにゼロです。本家のオーストラリアはどうかというと、1940年代までは、主に乳幼児や子供が何人か犠牲になっていたようです。しかし1950年代中頃に抗血清が実用化されて以来、1人も死んでいないといいます。また、王立メルボルン子供病院が公開している治療ガイドラインによれば、「セアカゴケグモの毒で命を脅かされる可能性はほとんどない」そうです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」