深刻な病気が隠れている「腰痛」の見極め方は?
一般的な腰痛は、同時に足がしびれたり、足に力が入らないといった症状が出るケースが多く見られます。腰の神経は足に向かって通っているためです。しかし、腰の痛みと合併した足以外の違和感を覚えたら、重病が隠れている可能性があります。
主に5つの病気が考えられます。1つ目は「内臓疾患」です。胃腸、十二指腸、胆のう、すい臓といった消化器の炎症が原因の場合、腰痛と腹痛を併発します。吐き気や嘔吐が伴うこともあります。2つ目に「泌尿器系の疾患」です。腰痛と同時に排便・排尿のコントロールができなくなったり、血尿が伴うと前立腺がんや腎炎といった疾患が疑われます。3つ目は「婦人科系の疾患」で、腰痛とともに強い生理痛や不正出血があると子宮内膜症、子宮がん、卵巣がんが考えられます。
これらの場合で、長引く腰痛や刺すような激しい痛み、いきなりドンと痛くなる症状があれば、肺がんや前立腺がん、大腸がんといったがんが進行し、脊椎・脊髄に転移している可能性があります。
4つ目が「循環器系の疾患」です。大動脈瘤や大動脈解離の前兆は、腰痛と間違えやすい。最後は「心因性の腰痛」です。脳の抑制反射によるもので、仕事や学校のストレスやうつ病患者の方に多く発症しています。1日40~50人の患者さんを診ていますが、半数近くが心因性です。薬を出しても効かない、診察しても原因がはっきりしない方は心因性の可能性が高いといえます。