西洋医学では病気と診断されない「未病」とはなんだ?
東洋医学では昔から未病という考え方があります。読んで字の通り、「未だ病まず」ですから、まだ病気になっていない状態を言い表しています。
なんとなく調子が良くないからと病院で検査をしたけど、異常なしと言われた──こんな経験はありませんでしょうか? 数値や検査画像などで異常が見つからなければ、西洋医学では病気と診断されません。
だったら治療する必要がない? いえいえ、東洋医学ではそうはなりません。まだ発病していないだけで、体のバランスが崩れ、病気に向かっている状態と捉え、そんな病気の芽を未然に摘む(治す)ことが東洋医学ではもっとも大切なことと考えるのです。
およそ2000年前にまとめられた東洋医学の原典「黄帝内経」に、「上工は未病を治し、已病を治さず」とあります。この言葉は「上等な医療者(上工)は、病気になる前に、その兆候を見いだして治療をする。病気が起こることを未然に対処する」ということです。東洋医学では、体のバランスの乱れ、機能の不調を鋭く察知し、症状がひどくなる前や病気になる前に治療を施していくことを最良と考えているのです。