日本が世界に誇る胃がん早期診断は佐野先生の貢献が大きい
また、外科医の巧みな手術技術により、日本は胃がんの生存率も世界一になりました。それには、佐野先生の貢献が大きかったと思います。
そんな早期胃がん診断のパイオニアだった佐野先生は、1976年に亡くなられました。
■ピロリ菌についてどう考えただろうか
近年、胃がんの原因になるとされている「ヘリコバクター(螺旋型細菌の意味)・ピロリ(胃の出口・幽門の意味)菌」は以前から、顕微鏡で慢性萎縮性胃炎の中に見えていました。それでも酸の強い胃の粘膜に細菌は、すめないと考えられ、問題にしていませんでした。
その後、オーストラリアの研究者・ウォーレンとマーシャルは、ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍の原因ではないかと考え、胃の粘膜にすみ着いている細菌の培養に成功しました。そして、自ら培養したピロリ菌をのみ込み、急性胃炎になったのです。彼らは2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
さらに、ピロリ菌は口から侵入して胃にすみ着き、萎縮性胃炎を進行させ、がんが発生しやすくなること、ピロリ菌の感染のない人から胃がんが発生することは少なく、胃がんはピロリ菌の感染が深く関わっていることが分かってきました。