梅毒の患者は地方で急拡大している…「累計10人未満」は青森、山梨、島根のみに
とくに追い詰められたのが非正規で働く若い女性だといわれる。
東大チームがまとめた20年3月~22年6月で、新型コロナの影響で増えた自殺者数は約8000人。そのうち20代が1837人(男性745人、女性1092人)で、10代377人のうち282人が女性だったという。
「今回の梅毒感染拡大の背景にはコロナ不況も関係していると思います。20代の女性を中心に性風俗産業周辺で広がっているのは確かですが、いわゆるプロの女性は性感染症対策をしっかりしており、仮に罹患してもお客さんに迷惑をかけるようなことはしません。今回の梅毒感染の拡大は、不況により心ならずも夜の仕事をせざるをえなかった、性感染症の知識のないアマチュア女性が感染源の可能性があるかもしれません」
尾上院長が懸念しているのは、こうした女性は孤立しており、性感染症を診てくれる病院は治療の実際を知らず、病気を放置していることだ。
「私の患者さんにも東北から東京に来て初めて風俗の仕事を始めたという女性がいますが、異変に気づいてクリニックにたどり着くまで3カ月以上かかっています。理由は、住まいと職場の往復で、孤立しているからです」
貧困と風俗と梅毒。21世紀になっても不幸の連鎖は変わらない。