夫婦ともに認知症で夫に先立たれた妻「パパのところに行けるわ」と眠るように…
「早い方がいいかもしれません」(私)
「連絡を取ります」(娘さん)
お風呂に入ったばかりで、さっぱりした、穏やかな表情の奥さま。
「もうそろそろかと、覚悟してます」(娘さん)
「徐々に呼吸が弱くなったり、呼吸の仕方に変化が表れてくると思います。苦しそうに見えるかもしれませんが、ご本人は苦しくないので、話しかけたり、手を握ったり、いつものように過ごしてください。そうなったら、まずは当院にご連絡くださいね」(私)
翌日、奥さまはゆっくりと目を開け、「パパのところに行けるわね」とお話しし、眠るように旅立たれていかれました。
このご家族が、大事な時間を最愛の自宅で過ごすお手伝いができた──。診療チームの一員であったことを本当によかったと感じたのでした。