石原藤樹
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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

マジックマッシュルームの成分が有効? 1回で6週間効果が続く抗うつ剤

公開日: 更新日:

 うつ病の治療といえば抗うつ剤ですが、眠気が強かったり、めまいが出たり、口が乾いたりと、副作用が多いことでも知られています。また、2週間以上は使用しないと、その効果が表れないという欠点もあります。

 それでは、もっと続けることが簡単で、副作用も少なく、効果が確実なうつ病の治療薬はないのでしょうか? 今、その候補として、「シロシビン」という薬が注目されています。

 シロシビンはマジックマッシュルームと呼ばれる、幻覚作用のあるキノコに含まれる成分ですが、持続的な抗うつ作用のあることが2016年に報告されて注目され、その後、臨床への応用が検討されています。

 今年の米国医師会雑誌に、104人のうつ病の患者さんに対して、シロシビンの有効性を検証した臨床試験の結果が報告されています。偽薬を使用した厳密な方法での臨床試験の結果、シロシビンをたった1回使用するだけで、その後6週間にわたって継続的なうつ症状の改善が認められました。

 気になる副作用は、幻覚が4割以上の患者さんに認められましたが、一時的なものでした。

 もとが幻覚作用のある成分ですから、その使用は今後慎重に検討される必要がありますが、1回の使用で6週間効果が続くというその特徴はこれまでにないもので、今後、うつ病の治療は劇的に変わるかもしれません。

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