白内障手術…単焦点にするか、多焦点レンズにするか
ここ数年、老眼矯正もできるとして注目されている「多焦点レンズ」。多焦点レンズが開発されたのは20年以上前のことで、遠くから近くまで複数の距離に焦点を合わせられる眼内レンズです。
1995年、AMO社の「Array」という多焦点レンズが薬事承認されました。この時は遠くと近くに焦点を合わせられる2焦点レンズでしたが、2019年、Alcon社の「PanOptix」が国内初の3焦点レンズとして承認。遠く、中間、近くに焦点を合わせられることから、近眼用、老眼用ともに、日常生活で眼鏡がほぼ不要となりました。現在は複数のモデルの多焦点レンズが国内で承認されています。
前回の本連載で紹介した単焦点レンズ、そして多焦点レンズはいずれも白内障治療のために開発されたものですが、近年は、老眼治療を目的に、白内障が進んでいなくても水晶体を多焦点レンズに替える手術を受ける方が増えています。
ただ、多焦点レンズは患者さんの期待度が高い一方で、全ての患者さんが満足するわけではありません。多焦点レンズは単焦点レンズと比較すると見え方の鮮明さは甘くなります。ある一点のクリアさを考えると単焦点レンズに軍配が上がるといえるでしょう。