妻の入院して深酒し過ぎた…嘉門タツオさん「急性膵炎」を振り返る

公開日: 更新日:

嘉門タツオさん(65歳/シンガー・ソングライター)

「点滴、浣腸、下剤、排尿、排便、採血、MRI/入院3日目/ようやく今日/流動食を胃に入れて/4日目に尿管はずれましたー」

 これは退院直後に作った「急性膵炎の歌」の冒頭です。まだ曲はつけていませんけど(笑)。

 私が「急性膵炎」と診断されたのは2022年8月でした。その少し前からお腹が張ってきて、排便排尿に支障を来すようになりました。かかりつけ医に浣腸してもらっても歩くと痛いなどの不自由が出てきたので、大きな病院で検査をしたら「即入院」でした。

 急性膵炎は膵臓から膵液が漏れてほかの臓器に悪影響を与える病気です。いろいろ調べた結果、膵臓がんではなかったのが不幸中の幸いでした。

 治療は水分を体に入れ、尿として排出すること。点滴で1日3リットルの水分を入れられました。全身を点滴で洗うような感じです。入院は1週間ほどで終わりました。

 原因はやっぱりアルコールだと思います。ちょうどその頃、うちの妻が入退院を繰り返していました。彼女は20年前に脳腫瘍を患って摘出手術を受けていて、その後、私と結婚しました。14年連れ添って、通院しながら平穏に過ごしていたんですが、2022年5月に腫瘍が9センチまで大きくなって、再び開頭手術をしたのです。その後いったん家に帰ってきたんですけど、2週間ほどして再び入院となって9月15日に亡くなりました。

 その一時帰宅の間は、ほぼ100%、彼女の介護をする生活でした。たった2週間でしたが、介護が日常化した最中に2度目の入院になったので、急に身を持て余してしまってお酒に走ったんですよね。妻の行く末がわからない、でも希望もある……そんな気持ちの不安定で深く飲み過ぎてしまいました。

 もともと夫婦そろってワイン好きで、料理との相性を楽しむのが日常でした。眼科医だった彼女は、脳腫瘍でメスが握れなくなったその絶望を食への探求心に変えた人。「食べたいものをがまんして長生きする意味があるのか?」という考えの下、2人で毎日ワインとシャンパンを空けていました。そんなアルコールの下地の上に深酒が重なって、病気を呼び込んでしまったんだと思います。

 妻も病院、私も病院で、LINEしあった時期もありましたね。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部詩まさかの敗因とは? 響き渡った慟哭…組み際の一瞬の隙、五輪連覇ならず2回戦敗退

  2. 2

    選手村は乱交の温床、衝撃の体験談…今大会コンドーム配布予定数は男性用20万個、女性用2万個!

  3. 3

    巨人・平内龍太の「非常識」に阪神岡田監督が激怒、SNS大炎上《あの態度はない。プロとして失格》

  4. 4

    女子バスケ選手と指揮官に深い溝… 連敗で予選敗退危機「ホーバスHC出戻り待望論」

  5. 5

    巨人選手を軒並み“チキン”にしたのは誰の仕業? 阿部監督ついに激怒「チャンスなのに悲壮感」

  1. 6

    東京株式市場の大幅続落に投資家が悲鳴! SNS上で名指し《植田ショックを招いた3悪人》の名前

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    阿部詩は大号泣、斉藤立も憔悴…ニッポン柔道大苦戦を招いた「全柔連の罪」

  4. 9

    賛否の大号泣・阿部詩を支える「今カレ」と「全てを知り尽くす元カレ」…ともに一二三とは“深い仲”

  5. 10

    山田涼介「ビリオン×スクール」火9枠への移動で背負うさらなる重圧…フジは金9から撤退へ