堰を切ったように大量の血尿が…漢 a.k.a.GAMIさん膀胱がんを語る

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男性機能の喪失が最大の問題だった

 今は膀胱の代わりに「ストーマ」という尿をためる袋を付けて生活しています。尿意がないため、うっかり居眠りすると袋から漏れてしまって地味に大変なので、うたた寝もできません。体の中に「人工膀胱」を作るという選択もありましたが、そちらはそちらでデメリットがありますし、あまり考える時間がなかったので、オススメされた方を選んだ感じです。

 正直に言うと、自分にとって最も問題だったのは、男性としての機能が失われることでした。前立腺の両脇にある勃起神経が遮断されたら、もう、ちょっとマインドを保つのが難しいと思って、その点は医師ともよく話し合いました。

 結局、ダビンチという手術支援ロボットでデリケートなところを細心の注意を払ってやってもらえることになり、手術に臨みました。おかげさまでなんとか可能性を残してもらいました。MAXの“元気”を取り戻すには時間がかかりそうですが、いろいろなクリニックや治療薬もあると聞いているので試していこうと思っています。

 有名人の中にも同じ病気の人がたくさんいて、そういう人の記事を見て、だいぶ勇気づけられました。

 入院中に自分がTikTokを始めたのも、こんな自分でも元気な姿を発信することで、ネガティブになっている誰かが「コイツずぶといな」って、少しでもポジティブになってくれたらいいなと思ったから。

 逆に重いがんを患いながらも笑顔で頑張ってる若い子をTikTokで見つけたのでコメントしてみたら、その日のうちに会いに来てくれるという感激もありました。身近な人からお久しぶりの人まで、お見舞いに来てくれたのも力になりました。顔を見るとテンションが高くなって、気づくと「こんなにしゃべっている、オレ!」と驚くことがしばしばありました。

 入院中のエピソードとしては、「食べ過ぎて気絶」が一番かな。手術直後のおもゆから、おかゆになったときに米のうまさに感動して、「今日からゴハンです」と言われた日にバカ食いしたんです。内臓はまだ本調子じゃないのに米が食えるうれしさで食べ過ぎてしまって、腹痛に襲われて薬をもらったけど効く前に痛すぎて気絶……。暴飲暴食の怖さを知りました(笑)。

 そもそも自分は現実主義で、見えない世界は好きじゃないんですけど、今回のことは「最低限の痛い思いで、最大限の注意喚起をされた」と思っています。「自分の体を過信するなよ」と病気に教えられました。

 順調に回復して、今は元気。3カ月に1回検診に行っているだけで、高血圧の薬以外は何も飲んでいません。仕事も復帰しています。カッコいいストーマのケースが現状ではないので、自分が作って商品化できたらなぁと思っているところです。

(聞き手=松永詠美子)

▽カン・エーケーエー・ガミ 1978年、新潟県長岡生まれ、東京都新宿育ち。高校生からラップを始め、2000年にヒップホップクルーMS CRU(現MSC)を結成し、02年「帝都崩壊」でデビュー。12年に鎖グループを立ち上げ、レーベル運営開始。MCバトル「UMB」や「KOK」といった大会を創設し、音源リリースやメディア出演のみならず、高田馬場でカフェ兼スタジオも運営している。

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【連載】独白 愉快な“病人”たち

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