90歳過ぎて友達は少なくなったけれど…新たな場所で新たな友を
レカネマブを投与後は健脳カフェで麻雀やおしゃべり
Bさんは、息子さんから勧められて、東京駅の真ん前で開いている「アルツクリニック」を受診されました(健脳カフェは、アルツクリニックとは別の場所、四谷三丁目駅近くの「アルツクリニックPETラボ」で開いています)。
物忘れが増えてきたことから、息子さんが心配されて受診を勧めたようです。神経心理学的検査や頭部MRI、血液生化学検査などの検査の結果、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断。アミロイドPET検査で、アミロイドβタンパクが脳に蓄積されていることが確認されたため、昨年末に発売されたまったく新しいアルツハイマー病治療薬レカネマブ(商品名「レケンビ」)を投与することとなりました。
レカネマブは誰にでも投与できるものではなく、「認知機能低下の原因がアルツハイマー病の方」「MCIあるいは軽度の認知症の方」など、いくつかの条件をクリアした場合に限ります。
並行して、アルツハイマー病を進行させない2次予防として、健脳カフェに通ってもらうことになりました。レカネマブは点滴注射で、月2回の投与になりますが、その投与の日は、朝にアルツクリニックPETラボで点滴注射を受け、その後に健脳カフェに寄る流れが定着しています。
Bさんは若い頃から麻雀が趣味。息子さんがまだ小さい頃、息子さんのお迎えを待つ間、ママ友たちと麻雀をしていたそうなんですね。ママ友との付き合いは現在に至るまで続き、麻雀もずっと楽しんできたそうです。
健脳カフェでも麻雀プログラムがあり、Bさんもよく参加されています。麻雀は136個の牌を使い、麻雀卓を囲む4人とコミュニケーションをとりながら指を動かします。相手の裏をかき、先読みをするという高度な技能が問われることもあり、脳を活性化するのにとてもいいのです。
記者さんの「レカネマブを投与し始めて何か変わりましたか?」という質問に対し、Bさんは「やっていないのと、やっているのとで比較できるわけではないので、変化を聞かれてもわからない」と返答。それはそうですよね。しかし、Bさんが健脳カフェ参加の皆さんとおしゃべりし、笑いながら麻雀をやっているのを見ると、「薬+α」で間違いなく脳に良い影響を与えているなと感じています。