患者にしっかり向き合って力を尽くす医師が減ってきている
そうした経験の積み重ねが、いまの一般の患者さんに対する無輸血手術の広がりにつながっています。患者さんの負担を減らすためには、できる限り出血を少なくして、なるべく輸血を減らすことが大切です。いつどんな場合でも、どんな患者さんに対しても、希望している医療を提供する……この姿勢が、医療の進歩に貢献したのです。
ただ残念ながら、このような考え方で治療にあたっている医師は、全体の5%いるかいないかといったところでしょうか。最初に触れたように、いまはさらに減ってきていて、さらっと診ただけで「これはもう何もできない」などとさじを投げ、患者さんを放り出す医師もすべての診療科で増えています。
自分が理想とする医療を押し付けず、どんな患者さんでもきちんと向き合って最適な治療を行っていく。あらためて、そんな医師が増えていくことを期待します。