北京五輪と四川大地震で中国でも認知され広告収入が激増
中国人向けポータルサイトで成功した男<3>
ITど素人の王氏が、インターネット事業に手を出した。在日中国人専門の情報交換プラットフォームをつくれば、毎日知らない人との出会いも楽しめるし、金儲けも出来る――。こんなオイシイ商売はないと思い、産廃処理業で稼いだ儲けの大半をつぎ込み、「小春網(ネット)」を大阪で立ち上げた。2003年のことだ。
当時、日本のネット人口は8000万を超え、世帯普及率は6割を突破。在日中国人も中国電信大手騰訊(テンセント)IM(インスタントメッセンジャー)の“QQ”を愛用していた。そんな時代を追い風に、王氏はブロードバンドのサーバーをレンタルして、無料会員の募集を始める。
「小春網は、当時の中国人にとって“雪中送炭”(雪の降る寒い時に炭を送る)のようなもの。サイトはたちまち口コミで広がり、あっという間に利用者は十数万人になったんだ。アパートやアルバイト探し、トラブルなど困ったことがあればすぐ問い合わせができる。とても便利でした」(在日中国人経営者)
“小春網に聞けば何とかなる”が合言葉になって、会員数がどんどん増えた。が、同時に運営コストも膨らみ、200万円かかる月が続いた。「今は出費ばかりだけど、この膨大なネットワークはいつかきっと宝物になる。無理でも頑張ろうと決めた」と王氏は振り返る。