忍び寄る「防衛増税」拡大…有識者会議で「43兆円から積み増し」提言相次ぐ仰天
言いたい放題じゃないか。防衛省は19日、防衛力の抜本強化に関する有識者会議の初会合を開催。今後5年間で防衛費43兆円を増額する政府方針に「積み増し」を求める意見が出席者から相次いだ。
有識者会議は、2022年12月に閣議決定された「国家防衛戦略及び防衛力整備計画」に基づき、防衛省が経団連の榊原定征名誉会長を座長に据えて設置。委員には筑波大准教授でメディアアーティストの落合陽一氏や森本敏元防衛相、早大政治経済学術院教授で前日銀副総裁の若田部昌澄氏など計17人が名を連ねる。
驚きだったのは、榊原氏の提言だ。物価高や円安などの影響を念頭に、防衛費増額について「43兆円の枠の中で、求められる防衛力装備の強化が本当にできるのか」と指摘。「見直しをタブーとせず、現実を踏まえた実効的な水準や国民負担、具体的な財源を本音ベースで議論すべきだ」と言い放ったのである。
防衛費増額の財源は▽歳出改革▽決算剰余金の活用▽防衛力強化資金▽所得税・法人税・たばこ税の増税──の4つ。積み増しになれば当然、国民はさらなる増税を強いられる恐れがある。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「対GDP比2%の防衛費負担を求めるアメリカと共同歩調を続ける限り、いずれ日本は負担増に耐えられなくなるでしょう。アメリカがNATO基準の負担を日本に求めているのは、米国内の軍需産業のため。そもそも43兆円も必要なのか疑わしいのに、これからも日本政府は自分たちでは整備できない防衛装備品を買わされ続け、費用は青天井。国民負担が増えれば、いよいよジリ貧です」