バルニバービ 佐藤裕久会長(1)飲食店を始めたキッカケは阪神大震災 食には人を元気づける力があります
阪神大震災が、飲食店を始めるキッカケだった。
「1994年、神戸の知人から『南京町商店街の3階建てのビルに雑貨屋を出すが、1階に2坪の空きスペースがある、佐藤君の企画力を生かして飲食コーナーをやらないか』と声がかかりました。場所代はいらないが、売り上げの一部を歩合で払うというのはどうか、と言うのです。誘いに乗り、テイクアウト専門の『神戸やわ団子』を出しました。しかし、その1カ月後の1995年1月17日、阪神・淡路大震災に襲われた。店はダメになりました。ただ、愛する神戸のためになにかしなければと、おかゆの炊き出しを手伝った。被災者が心から喜ぶ姿を見ていて、なぜか涙がこぼれてやまなかった。食には人を元気づける力があると、食べ物屋を自ら始めようと腹をくくりました」
その時、佐藤は20万円の所持金しかなかった。飲食店を出店するために、国民金融公庫から500万円、中小企業保証協会から500万円借りた。
家賃の安いバッドロケーションの大阪・南船場に3階建ての材木置き場を見つけた。35坪家賃65万円。佐藤は学生時代から可愛がってもらっていた「キンチョー」(大日本除虫菊株式会社)の上山英介社長(当時)に会い、500万円を借りた。