TSMC進出の熊本地元企業は深刻な人手不足に直面…隣県の鹿児島にも影響が
こうした経済波及効果への期待が高まる一方、地元企業の大きな課題となっているのが人手不足の問題だ。すでに熊本県内では人材確保に企業間の競争が激化しているという。隣県の鹿児島県の企業ではTSMCへの人材流出も始まり、今後の人手不足を懸念する。
■平均年収400万円→600万円に上げて中途採用を募集
九州経済研究所が4月23日に発表した県内企業・業況調査結果では、「今後、TSMC進出により鹿児島県全体にどのような影響があるか」という質問に、76%が「人材流出・人手不足」と答えているのだ。熊本県商工会議所の担当者が言う。
「TSMCは大卒新入社員の初任給が28万円と聞きます。地元企業に比べ3割高くとても採用で太刀打ちできません。人手不足が続くなかで今後、さらに地元企業の人材確保は厳しくなってくる」
東京商工リサーチ熊本支店の瀬戸政規支店長もこう述べる。
「地元企業は採用を増やし、新入社員10人の採用を予定しても5人しか集まらない状態。中途採用でも平均年収400万円だったのが600万円に上げて募集しています。人手不足を抱える企業が増え、派遣や契約社員でしのぐ企業が増えてきています」