KINGペレ80歳の誕生日に思うこと<下>
■ジーコがペレほど世界中のファンに愛されなかった理由
ジーコはW杯での優勝こそ逃したが、1982年スペインW杯ではファルカン、ソクラテスらと<黄金のカルテット>を形成し、ドリームチームの中心人物としてプレーした。壮絶な点の取り合いとなった2次リーグのイタリア戦(ロッシのハットトリックでイタリアが3ー2の勝利)は、W杯の名勝負として永遠に語り継がれるだろう。
しかしながらーー。
カシマとマラカナンのスタジアムに銅像が建っているジーコなのに「全盛時にペレほど世界中のファンから愛されなかった」「アイドルになれなかった」ことが、個人的にも不思議でしょうがなかった。その疑問をセルジオ越後氏(評論家)にぶつけたところ、その答えを聞いて妙に納得したことを今も鮮明に覚えている。
セルジオ氏曰く、「たとえば、ブラジル代表やサントスが親善試合でヨーロッパに遠征したとするよ。試合は2-0で勝っていてもペレは3点目、4点目を取りに行く。そうしたゴールを子供の時に見たら、大人になっても鮮明に覚えている。しかし、ジーコは勝っていたら、それ以上は無理をして点を取ろうとはしない。ケガをしたらバカバカしい。現実主義者なんだ」ということだった。