「野球好きのお母さんを増やしたい」という思いが芽生えた
僕は昨年1年間、女子プロ野球の総合投手コーチを務めました。
男子のスピードやパワーと比べると見劣りしますが、思っていた以上にレベルが高い。何より試合に対する熱量が120%と言っても過言じゃない。「そういえば、俺らも野球を始めた頃ってこうだったな」と懐かしさを覚えました。
ただ、いざコーチの仕事を引き受けて指導をすると、考え方や取り組み方、そしてトレーニング方法なども、他の女子アスリートと比べると洗練されていない。逆に言えば、伸びる余地はまだまだあると思いました。
そんな女子野球に興味をもった僕は、さまざまな取材をしました。その結果、少子化が叫ばれ、全国的な野球人口も減っている現在、少年野球では女の子が主力メンバーになるケースが増えているんです。女子のレベルが上がっていることもそうですが、むしろ女の子を入れないとチームとして成り立たないケースもあるのです。
小中学生の学童野球の親御さんたちと話したときのこと。あるお母さんは「野球は難しくてつまらない」と言う。お父さんが子供の習い事に付き合うのは休日くらいですが、中学の硬式野球ともなると毎日のように練習があり、送り迎えをするお母さんも2、3時間はグラウンドにいることになります。同じ時間、子供に付き合うなら、試合の流れがわかりやすいサッカー、見ていて楽しいテニスやゴルフなどをやらせたい、と言うんですね。