大学生ドラフト1位候補5人 掛け値なしの評価と指名球団

公開日: 更新日:

正木智也(慶大/外野手)

 11日のドラフト会議まで1週間余り。プロのスカウトはリーグ戦が真っ盛りの大学生候補の最終チェックに追われている。セ・リーグとパ・リーグのスカウトに、大学生1位候補5人の掛け値なしの評価を聞いた。

【写真】この記事の関連写真を見る(19枚)

 ◇  ◇  ◇

 身長182センチ、体重90キロ。慶応高時代は高校通算50本塁打を放ち、東京六大学リーグでは通算10本塁打。今春はリーグ最多の4発、12打点を挙げ、リーグ優勝に貢献した。全日本大学野球選手権大会では2試合連続アーチを放つなど、チームを日本一へ導き、MVPに選ばれた。

■リストが強くヘッドが利く右の大砲

 パ・リーグのスカウトがこう言う。

「軸がぶれず、リストが強くてヘッドを利かせられるのが特徴。中堅方向にも本塁打できる。右打者で長打を打てるところが魅力。最近は左の強打者ばかりだから、右の大砲としてニーズがある」

 一方でウイークポイントもある。「正確性がまだまだ。抜けたスライダーや、あまり落ちないフォークなど、投げ損じの変化球は確実に打つが、速球に差し込まれるケースが目立つ。ファウルを打つ時も、引っ張れないことが多く、そこが課題。あまり器用な方ではないかもしれない」とは前出のスカウトだ。

 中日、楽天、広島が指名する可能性がある。

隅田知一郎(西日本工大/投手)

 176センチ、76キロ。最速150キロの「九州のドクターK」は、6月の全日本大学野球選手権の上武大戦で、毎回の14三振を奪い、一躍注目された。

 セ・スカウトがこう言った。

■春から好調維持

「インステップ気味に踏み出すフォームから、カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、スプリットと多彩な変化球を操る。中でも縦の変化は一級品で、右打者も苦にしないのが強み。内外角に投げ分ける技術と緩急で打たせて取る器用さもあります。春からずっと好調を維持していて、最も右肩上がりの選手。全体でもナンバーワン左腕の位置付けに浮上しています」

 地元・ソフトバンクヤクルト巨人DeNA阪神日本ハム西武などがリストアップしている。

佐藤隼輔(筑波大/投手)

 182センチ、83キロの均整の取れた体格から最速152キロを誇る左の本格派だ。

 仙台高時代もプロ注目だったが、自信が持てず、筑波大へ進学。2年時に大学日本代表メンバーに選ばれたことが転機となった。「目標」と語る1学年上の早大・早川(楽天)と共に戦ったことで刺激を受けたという。

■出どころが見にくいソフトバンク和田タイプ

 パ・スカウトは「腕の使い方がうまく、体の後ろにボールが隠れ、打者から出どころが見えにくい。右打者の内角へ投げ込むクロスファイアが良くて直球はホップする。コーナーに投げ分ける制球力もある。ソフトバンク・和田や楽天・早川タイプで総合力が高い」と評価する。

 1位指名なら1996年のオリックス・杉本友(筑波大)以来、国立大出身で史上2人目となる。9月11日の東海大戦で右腹部を負傷したが、「評価は変わらない」(前出のスカウト)と言う。

 ロッテ、楽天、西武、オリックスといったパ・リーグ球団に人気だ。

黒原拓未(関学大/投手)

 身長173センチ、体重76キロと投手としては小柄だが、力強い腕の振りで最速151キロ。春のリーグ戦では8試合に登板して5勝1敗、防御率は0.70。絶対エースとして14季ぶりのリーグ優勝へ導いた。自身も最優秀投手、最優秀選手、ベストナインの3冠に輝いた。セのスカウトが言う。

■球威とチェンジアップが武器

「球が強くて、特にチェンジアップが一級品。カットボールもいい。よく練習するのは長所」

 弱点はあるか。

「コントロールがアバウト。投球の幅というかテクニックがあまりなくて、相手打者を見て投げられない。良い日と悪い日がはっきりしています」

 阪神、広島、ロッテ、オリックス、巨人がリストアップしている。

山下輝(法大/投手)

 188センチ、95キロの大型左腕で最速151キロ。木更津総合高から進んだ法大1年時にトミー・ジョン手術を受け、長いリハビリ生活を送った。

■伸びしろが大きい大型左腕

 パ・スカウトは「一番評価が難しい選手。エースじゃないから登板数が少ないし、コントロールも微妙。直球のキレも物足りない」と辛口も「1年時の手術の後は徐々に伸びてきている。ツーシーム、スライダー、カーブといった変化球を操る器用さもある。体が大きくて左腕。伸びしろが大きく、かなりの可能性を秘めているように見える」。

 8月下旬に寮内で新型コロナウイルスのクラスターが発生したため、法大のリーグ戦初戦はドラフト2日前の10月9日にずれ込んだ。もしここで衝撃的な投球を見せるようなら、各球団のドラフト戦略は直前に再考を余儀なくされるかもしれない。

「だから、東京六大学担当のスカウトはヤキモキしているんです」(前出のスカウト)

 現時点では地元・ロッテ、広島、DeNAに可能性がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希「負傷者リスト入り」待ったなし…中5日登板やはり大失敗、投手コーチとの関係も微妙

  3. 3

    巨人「松井秀喜の後継者+左キラー」↔ソフトB「二軍の帝王」…電撃トレードで得したのはどっち?

  4. 4

    巨人秋広↔ソフトBリチャード電撃トレードの舞台裏…“問題児交換”は巨人側から提案か

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  4. 9

    佐々木朗希「中5日登板志願」のウラにマイナー降格への怯え…ごまかし投球はまだまだ続く

  5. 10

    佐々木朗希「限界説」早くも浮上…案の定離脱、解説者まで《中5日では投げさせられない》と辛辣

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北