WBC迫る侍Jに「3つの難題」…大谷の二刀流参戦、朗希の起用法、坂本招集への障壁
日本ハム、巨人との強化試合を終えた侍ジャパンは、9、10日の2日間、場所を札幌ドームに移して豪州戦に臨む。来年3月のWBCまで4カ月に迫る中、課題、難題が浮き彫りになってきた。
■「ピッチャーの方は慎重になりますね」
投打の大黒柱として参戦が期待されているエンゼルスの大谷翔平(28)。すでに1年3000万ドル(約44億円)で契約を更改。本人も出場意欲があり、球団も出場にゴーサインを出している。
あとはコンディション──。それについて当の本人がこう言っている。
先日発売された雑誌「Number」のインタビューで、「代表として選ばれたら」との問いに「出たい気持ちはあります。ただ、無理ができる時期ではないので、ピッチャーの方は慎重になりますね。体調がもろに直結しちゃいますから……バッターとしてなら僕は守備につかないと思うし、DHなら体調には直結しないので、たぶん(笑)」。
つまり、「打者大谷」はDHでの出場なら問題ナシを強調しつつも、「投手大谷」としてのプレーはかなわない可能性があるというわけだ。
来季の年俸が高額になっただけでなく、オフにはFAも控え、大型契約を結ぶことが確実視されている。まして今季は初めて投打ともに規定投球回、規定打席に到達。来季もリアル二刀流でのプレーを継続するにあたり、体を休める必要もある。特に投手がWBCに出場する場合、所属先の球団は一日の球数やブルペンの登板間隔などを厳格にチェックしている。投手大谷の参戦は想像以上にハードルが高そうだ。
「大谷が投げられないとなると、日本の先発投手の台所事情は厳しくなる」とは、代表関係者。
「前回2017年大会で主戦を務めた千賀(ソフトバンク)は今オフのメジャー挑戦が確実視されており、移籍が決まれば参戦は極めて困難。ダルビッシュ(パドレス)も来年37歳を迎える上にFA取得を控えており、参加に関して明言を避けている。日本勢ではエースの山本(オリックス)が日本シリーズで古傷の左脇腹痛が再発。状況次第では辞退に追い込まれかねません」
日本の投手陣は世界でもトップクラスといわれているが、大谷らが軒並み投げられないとなると、苦戦は必至だ。
■ひと筋縄ではいかない佐々木朗希の起用法
「今年4月に完全試合を達成した佐々木朗(ロッテ)なら、米国や中南米の強豪国相手でも張り合えるでしょう。ただ、今季は疲労回復を考慮して4度も登録抹消されるなど、いかんせん体が出来上がっていない。ロッテの監督に就任した代表の吉井投手コーチが常に目を光らせているとはいえ、無理をさせられる段階ではない。
実際、今回の強化試合でも、佐々木本人が10日の豪州戦に先発するとコメントしたものの、栗山監督は『まあそんな感じです』と明言を避けた。1次リーグで当たる豪州相手に手の内を明かしたくないというのもあるし、コンディション次第では登板を回避せざるを得ないからでしょう。期待はしてもアテにはできない面があるのです」