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佐々木裕介フットボールツーリズム アドバイザー

1977年生まれ、東京都世田谷区出身。旅行事業を営みながらフリーランスライターとしてアジアのフットボールシーンを中心に執筆活動を行う。「フットボール求道人」を自称。

チャナティップはビジネス、スパチョークはエコノミー…タイ代表の飛行機座席問題の深層

公開日: 更新日:

 タイのフットボールメディアが騒がしい。代表チームの試合内容について、でも選手のパフォーマンスの良し悪しについて、でもない。タイ代表選手が帰国する際の飛行機座席をお題に賑わっている。

 フットボールメディアのみならず、タイのキー局・チャンネル3傘下の有名トークニュース番組「ホーンクラッセー」までもが、公式SNSで取り上げる程に注目が集まっているのだ。

 ◇  ◇  ◇

 事の発端は、タイ代表・スパチョーク(北海道コンサドーレ札幌)のチーム通訳が発したSNS投稿に起因する。

 彼の言い分を簡単にかいつまむと……。

「国を代表して戦うために帰国する選手が何故エコノミークラス利用なんだ」というもの。それは代表選手のステイタス云々という類のものではなく、身体に及ぼす影響を考慮した発言なのだとも読み取れた。

 そして、これには若手主演(スパチョーク)の陰に助演男優の存在があった。タイサッカー界のアイコン・チャナティップ(川崎フロンターレ所属)である。

 実は、チャナティップだけがビジネスクラスに座り、スパチョークはエコノミークラスに座っていた事実に対しての投稿だったのだ。

 日本語がままならないスパチョークの通訳業務のみならず、生活全般をサポートしている彼としては、可愛い兄弟へのタイサッカー協会(以下FAT)の対応が、はなはだ許せなかったのだろう。

 そして通訳のSNS投稿をメディアがこぞって煽った結果、事態は急変することになる。マダム・ペーン(美魔女と呼ばれるタイ代表を支えるスポンサーである“タニマチ女史“)が、彼らの日本へ戻る復路航空券をビジネスクラスへ変更手配することを自身のSNS投稿で約束し、事態はひとまず落ち着いたことになっている。

 この騒動の渦中、偶然にも筆者はそれらの一部始終を目撃していたのである。

 3月18日土曜日、夜の羽田空港。タイ・パタヤで行わている「AFCビーチサッカー・アジアカップ」の取材へと向かうため、バンコク行きの搭乗を待っていた。すると同日の試合(J1第5節)に出場していたチャナティップとスパチョークの姿を確認。3月の国際Aマッチデーに行われるうUAEでの国際親善試合(2試合)に招集され、帰国するふたりも同便だったのだ。

 そして、この「座席格差問題」=チャナティップは機内前方(ビジネス)に座り、スパチョークだけが後部座席(エコノミー)に座る姿(これは筆者座席の直ぐ前側だったことで目視確認済み)に違和感を覚えていたのは筆者も同じく。

 タイ到着後、パタヤへ向かう車内でいじっていたスマホから飛び込んできた一連の事態を知って驚愕したのと同時に、ジャーナリスト的には「自らの引きの強さ」にビビったことも軽く記しておきたい。

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