花巻東・佐々木麟太郎が米国留学決断…プロ球団も国内大学も安堵した「納得の理由」
国内の大学からは「預かるリスクが高い」の声が…
1位候補数人のリストに麟太郎を残していたという別のパ球団スカウトはこう言う。
「プロ入りすれば、注目度は高校時代の比ではない。最近では2017年ドラフトで早実から7球団競合の末に日本ハム入りした清宮幸太郎もプロの洗礼を浴びた。彼は周囲の注目を自分のモチベーションに変えることができる選手ですが、それでも1年目の春季キャンプでは『人目が多くて疲れます』と漏らしていた。自主トレでいきなり右手を故障し、キャンプ中には胃腸炎を患った。麟太郎は高校時代の故障歴と現時点の実力を考慮すれば、1年目は体力づくりに専念することになる。練習、試合でガンガン打って……というわけにはいかない。地味な練習が続く中、一挙手一投足を追われることになる。課題の守備や走塁に関して、メディアや評論家からの雑音もさらに増えるでしょう。いまプロ入りしても、パンクしてしまうかもしれません。預かる球団もプレッシャーはありますから、正直、ホッとしている部分はあります」
進路の候補だった国内の大学からも、麟太郎の決断に関してこんな声が聞かれた。関東地方の大学野球部関係者が言う。
「麟太郎君には全国の100校前後の大学が花巻東にオファーをしていたと聞いています。中には、最後の最後まで枠を空けて待っていた強豪大学もある。米国留学なら、声をかけてくれた大学に対して、角が立たないという配慮もあったのかもしれません。麟太郎君は戦力としてはもちろん、話題性もある。ただ、麟太郎君の獲得に熱心だったのは現場よりもむしろ、大学の本部の方でした。現場とすれば、麟太郎君を預かることは非常にリスクが高い。ケガが怖いのはもちろん、打撃の技術はすでに我々が教えられる範疇を超えています。仮にフォームをいじって崩れてしまったら責任問題になる。常に注目される存在ですから、ストレスはたまるでしょうし、必ずしもチームメートが歓迎するとは限らない」
米国なら常に注目されることはないし、ノビノビと野球に専念できる。麟太郎は後顧の憂いなく、海を渡れそうだ。