「図書館司書と不死の猫」リン・トラス著、玉木亨訳

公開日: 更新日:

 ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのアレック・チャールズワースが、休暇先のコテージで、奇妙なメールを読み始めたところから物語は始まる。ウィンタートン博士と名乗るメールの送り主についての記憶は定かでなく、少し前に亡くなった妻が仕事を補佐していたらしいことくらいしか思い浮かばない。

 送られてきたメールには、文書ファイルのほか、芝居の台本のようなテキストと、画像ファイルと音声ファイルが添付されていた。アレックは退屈しのぎにそれらの解読を始めたが、そこにあったのは人と話す猫にまつわるおぞましいストーリーだった。

 帰宅後、この話の真偽に疑問を持った彼は、ウィンタートン博士を訪ねたことで、この恐ろしいストーリーが妻の死に関わっているのではないかと思い始める。その彼の好奇心が、彼自身を追い詰めていくとは知らずに……。

 本書は、英米で大ベストセラーになった「パンクなパンダのパンクチュエーション」などの著作を持つイギリス生まれの作家によるホラー小説。猫好きが卒倒するような邪悪な猫が登場する、予想外の方向へ連れていかれる異色作だ。

 (東京創元社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」