「スワロウテイルの消失点」川瀬七緒著

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 物語は、杉並区下井草で発見された腐乱死体の司法解剖シーンから始まる。解剖医が遺体にメスを入れる現場に立ち会ったのは、法医昆虫学者の赤堀涼子、警視庁の岩楯刑事とその相棒の深水巡査部長、高井戸署署長、鑑識課長ら。

 死因検証の最中に、死体から次々と大量のウジが孵化し続けるという壮絶な状況に、赤堀以外のメンバー全員がぎょっとしているなか、突如、お互いの体に発疹や出血が起きていることに気づき、何らかの感染症なのではないかとパニックが起きる。

 発疹のみならず強烈なかゆみに襲われた立会人たちは、念のため隔離されることになったが、赤堀はその発疹の原因に思い当たることがあった。仮説をもとに対処法を編み出した赤堀は、この発疹の原因から被害者の事件解明の糸口までをたどっていくのだが……。

 死体に湧く虫の状況とその生態系から犯行の状況や死後の経過の様子までを割り出す「法医昆虫学者」の赤堀涼子が活躍する、法医昆虫学捜査官シリーズの最新作。本作でも、赤堀の推理と捜査線上に浮かんだ人物の証言によって、事件の真相にたどり着くまで一気に読ませる。

 (講談社 1500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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