タメになる!?面白人生相談本特集

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「鴻上尚史のほがらか人生相談」鴻上尚史著

 新聞や雑誌の「人生相談」をついつい見てしまう人は多いだろう。こんな悩みがあるのかと驚いたり、自分と同じだなと共感したり。しかし、「人生相談」の醍醐味は、何といっても、その回答だ。さまざまな回答者たちの、ぶっとんでいたり、意外だけど説得力がある「答え」に深く納得。人生の見方のヒントになる、そんな面白「人生相談本」5冊を紹介しよう。



「夫とは価値観が合わず、毎日一緒にいたいと思わない。結婚の意味ってなんですか?」との悩みを寄せたのは40歳の主婦。子どもが社会人になったら、夫とは週に1、2回会うような生活が夢だという。そんな相談者に対し、「長く共にいる夫婦の基本感情は不機嫌」と経験を語りつつ、夢を実現するには、夫を洗濯と料理の面で自立させることとアドバイス。「数年後には理想の結婚を実現させるんだ」と、とりあえずの結論を出しておくことを勧める。

 ほかに、「小3から好きだったKちゃんと再会したけど、どうしたら?」(55歳・男性)、「友だちが元カレと付き合いだした」(21歳・女性)など、ほがらかなものから深刻な内容まで全28相談を掲載。観念的ではなく、理想論でもなく、具体的で実行可能なアドバイスをモットーにする著者が全力で答える。

(朝日新聞出版 1300円+税)

「97歳の悩み相談」瀬戸内寂聴著

 著者は御年97歳。対する相談者は全員が10代という、年の差80歳の異色の悩み相談。

「人によく見られたくて、ありのままの自分が出せない」と言うのは17歳の女子高生。よく見られたくて何でも頑張ってしまうが、本当はネガティブだと告白する。

 それに対する著者の回答は「好きなことが才能。自信を持ち、一番好きなことをやりなさい」。何でも頑張ってしまうのは、好きなことが多すぎるのと、才能がたくさんあるということ。だから悩まなくていい、と噛んで含めるように語る。

「嫉妬」「恋愛」「将来」「親子関係」など若者のリアルな悩みに、人生の大先輩が時に自分の経験談、そして著者の30代秘書も登場して、「自分のことを好きになれ」「嫌われないための努力なんて無駄」など、「幸福になるための知恵」と人生の見方を伝授する。

(講談社 1200円+税)

「悩む人」髙橋秀実著

 あるとき、妻から「あなたには悩みがあるの?」と問われ、絶句した著者。古典に答えを求めるうち気が付いたのは、困っていても悩んでいない気がするのは体調が良いからだ、と。そんな著者が答える人生相談。

「仕事のやる気がなかなか出ない、追い詰められないと出来ない」と悩む40代男性には、「大切なのはやる気よりも、やること。結果的に仕事をこなしてるのだからよい」とスパッと回答。「幸せだが夫を愛せない」40代主婦には、自分も常々妻に「ウザい」と言われていることを告白しつつ、「小動物と思って観察しては」。そうすれば腹も立たない、とアドバイスする。仕事が憂鬱で独立を考える30代男性には、ローン審査の厳しさなど“自営業のリアル”を伝え、安易な独立を反対するといった具合。ユーモアたっぷりの考えるヒントが満載。

(文藝春秋 1700円+税)

「だったら哲学があるじゃない!」マリー・ロベール著 山本知子訳

 本棚が欲しくて出かけた著者は、店で商品を見ているうちに物欲が爆発。予定外の時間とお金を使ってしまい、帰宅後は後悔にさいなまれていた。そんなとき思い出したのが、希代の哲学者スピノザの存在だ。

 スピノザは人間は誰もが「コナトゥス」=自分の存在を維持しようとする力を持っていると説いた。それは欲望とも言い、欲望こそ生きている証しである、と。

 さらにスピノザは「美徳」とは情熱を正しく把握し、自分は何をするのが好きか自覚できることと説く。つまり、自分自身と身の回りについてリアルな知識を持ち、自分を支えるものと足かせになるものとを区別できることが大切だ、と言っているのだ。

 飲み過ぎて自己嫌悪に陥ったときはアリストテレスの「優秀さとは1回の行動ではなく習慣によってつくられる」が心に染みる。12のこんなはずじゃなかったシーンを、12人の哲学者の言葉で解決。

(双葉社 1400円+税)

「人生の諸問題五十路越え」小田嶋隆、岡康道、清野由美著

 今は60歳を過ぎた小田嶋と岡は、五十路を振り返り「50歳を過ぎたら半分うつ」だという。

 あるとき小田嶋は自転車で転んで足を骨折。入院した当初はすごく痛かったが、痛むことが分かってくると、痛みとだんだん和解してくるのだという。

 それはメンタルも同じではないか。用心していない人、優秀な人ほど、50代になるとポキッと折れることが多い。「俺、やばくない?」と思いながらやり過ごしている人のほうが生き延びる確率は高くなるという。

 また岡が「サラリーマンは50代が超つらい。なぜならルールがよく分からないゲームが始まるから」と言えば、小田嶋が共感しつつ「長年の観察の結果、一言多いやつは出世しない」などの持論を展開。ほか、会社人生からオリンピック、健康問題まで人生の諸問題を、高校の同級生である2人が遠慮なく語り合った対談集。

(日経BP 1600円+税)

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